愛犬が急に後ろ足をつかなくなったら

2026年4月15日

足をつかなくなる原因にはいろいろあります。日々の診療では、圧倒的にパテラや、前十字靭帯損傷の急性期が多いのですが、それ以外にも、重要な鑑別疾患としては、以下のような原因があります。この記事では、それぞれの疾患の概要を中心に書かせていただいています

目次

急に後ろ足をつかなくなる主な原因(鑑別疾患)

  • パテラ/前十字靭帯断裂
  • 外傷
  • 股関節脱臼
  • 血栓塞栓症
  • 椎間板ヘルニア
  • 免疫介在性関節炎

鑑別方法

パテラ/前十字靭帯断裂:触診、レントゲン

若齢の場合には基本的には触診で診断し、レントゲンにて重症度判定を行います。中年齢以降での発症の場合、併発疾患を抱えている場合があります。上記の鑑別疾患の除外を行うことが重要です。

足の筋肉は正常に動かすことができるが、足をつきたがらないのが特徴

外傷:丁寧な触診

主に足の裏や爪の外傷が原因となります。足の裏の場合はトゲなどの刺入物、爪の場合は爪の亜脱臼等が多く認められます。刺入物が非常に小さく細い場合には診断が困難な場合もあります。そのような場合、生体の異物を追い出す反応を待つ治療を行うことがあります。

出血があったり、特定の場所のみを触るとすごく嫌がるのが特徴

股関節脱臼:触診、レントゲン

触診では、それぞれの三角形の頂点(青丸)にある蝕知できる構造物を頼りに股関節の位置の評価を行います。三角形が、図のように下向きになっているのが正常です。脱臼があると、三点が同一線上になったり、受け向きの三角形になってしまいます。

足先が床につかないように、足を折りたたむように上げているのが特徴

血栓塞栓症:血液検査、CT/MRI

主に脊髄内を流れる血管に血栓が詰まることで、神経細胞が障害され発症します。血栓の程度によって臨床症状は様々です。慢性間欠的(症状が出たり、収まったりを繰り返す)な症状もあり、ヘルニアと非常に似ることがあります。

患肢が全く動かず引きずるように歩き、触ってもあまり痛がらないのが特徴

椎間板ヘルニア:CT検査、神経学的検査、診断的治療

背骨と背骨の間にある椎間板(クッション)が変性し、膨らむことで脊髄神経が圧迫され発症。重症度別にグレード分類があり、グレード毎に推奨される治療方針が異なります。

症状にバリエーションがあり、痛みだけ~完全な麻痺まで様々な程度の歩行障害を示すのが特徴

免疫介在性関節炎:触診、血液検査、関節液検査

免疫細胞の暴走によって関節内で強い炎症が起こることで発症。免疫細胞の暴走の現場は、手首や足首、肩関節等、様々な場所で発生。関節以外(腎臓や皮膚、血球)にも免疫細胞の暴走が標的となるSLEとの鑑別も重要です。

発熱や元気食欲の減退のみから、移動性の関節痛まで様々な症状が特徴

お家での必要な対応

急に後ろ足が付けなくなってしまった場合、鑑別疾患の中には重症化するものも多く含まれます。あまり経過を見ずに早めの受診を心がけてください。

ご自宅と病院とでは、緊張のため症状が異なることがあります。ご自宅での歩行の様子を動画で撮影して、獣医師に見てもらう事をお薦め致します。

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